会社から帰るとき、タイミング的にいつも満員電車に巻き込まれる。
そこに乗っている乗客たちもみんなそうだと思うが、満員電車はかなり苦手。
ぴたりとくっつけられてしまった他人の背中の生暖かさが気持ち悪い(相手も同じく不快だろう)し、ちょっと顔を動かすとすぐ誰かと目が合うし、立ち位置によっては何にも掴まれなくて電車の揺れに耐えないといけないし、目的地に着いたら人を軽く押し退けながら降りないといけない。
先日もいつも通り満員電車だった。
ぎゅうぎゅうに四方八方から抑えられながら他人と目を合わせないように軽く下を向きながら立つ。
少しすると、ちょうど不快な温度の風が横顔に吹いてきた。なんなら耳の位置に。音から察するに、それは他人の鼻息だった。
顔を動かさずに横目で確認すると、俺の左側、真隣よりやや前方寄りに俺よりちょっと背の高い人が立っている。どういうわけか、ふんー、ふんー、と闘牛のごとく荒く息を吐いている。
腹式呼吸か知らんけど、鼻から出る空気にしては勢いが良すぎる。推定で40cmくらい離れてるのに、身長差のせいで鼻から下向きに出た空気が真っ直ぐ俺の耳にまで届いてしまっている。
悪気はないと思うけど、正直かなり不快だった。
あまりに嫌だったので顔の位置を少し動かしてみる。しかし少し動かす程度では無駄で、きっちり耳をホーミング(追尾)して吐息が入ってくる。満員電車なので大きく位置を変えることも許されない。
なんなんだよもう!!!! と憤って、むしろ顔を少し相手の方に向けてどんな体勢になっているかちゃんと見てみた。
俺と全く逆の方向を向いていた。
隣に立っているのは分かりつつ顔の向きは分かってなかったので、てっきり顔が俺の方に向いていると思ってた。
左が相手の顔の向き、右が俺の顔の向きだとしたら
↘
↑
こういうイメージだった。
でも本当は、
↓
↑
こうだった。
え、おかしくない???????
じゃあ鼻息は、
↓
↳⇨⇨⇨⇨↑
こういう軌道で耳まで届いてるってこと????
鼻の形によっては多少ななめに進むこともあるだろうけど、ほぼ直角に曲がってない???????
なんか、口元にちっちゃいサーキュレーターとかつけてないとそのルートは無理じゃない????
この図だと正確な位置が表現できないけど、明らかにそんなわけない位置から鼻息が飛んできていた。
この人じゃない可能性も考えたけど、他の人は自分より後方にいたり背を向けていたりしていて鼻息が当たることは考えにくく、この人しかありえなかった。
結局、目的駅に着くまで顔に鼻息をかけ続けかれ、怪訝な顔をしたまま降車した。
あれ、本当に何だったんだろう………