グルメに全然興味がない
生まれつきそうなのか、家庭環境の影響でそうなのかは分からないが、人生で一度も食に関心を持ったことがない。
もちろん美味しいものを食べたいという欲自体はあるし、味の好みやお店の好みはあるが、多分一般的な感覚と比べてもそのハードルはかなり低いと思う。
そもそも、料理に関する情報が全然頭に入ってない。さすがにカレーとか肉じゃがとかは分かるけど、〇〇煮とか〇〇和えみたいな料理を全然知らない。今改めて給食の献立とか見ても、その名称からどんな料理が出るかは全然想像できない気がする。
ちょっと試しに見てみるか。
テキトーに検索して出てきた奈良県大和郡山市(かっこいい名前)の市立中学の献立を拝見。
大和郡山市 市立小学校・中学校給食献立
- 10月1日:さわらの香草焼き
さっそくわからん。さわらという魚がいるのは知ってる。食べたこともある。でもどんな見た目でどんな味なのかまったく覚えてない。そのうえ香草焼き。香草ってなに? パクチーとかの総称?
- 10月15日:さつま芋と厚揚げの煮物
これもわからん。さつま芋は分かる。厚揚げも分かる。でも煮ることでどんな見た目でどんな味になるのか全然わからん。献立には材料として醤油、みりん、和風だし、三温糖、でんぷんなどと書いてあるが、これらを混ぜた味とかも全く想像つかない。ってか三温糖ってなに? 初めて聞いた。
- 10月30日:照り焼きハンバーグ
「照り焼き」も未だによく分かってない。照り焼くってどういう意味? 照り焼きバーガーとか照り焼きチキンは食べたことあるけど、「これは照り焼いてるな〜」とか思ったことがない。味の解像度が低く、基本的にすべての感想は「美味しい」に留まってしまう。
こんなに味の想像ができないのは、自分が料理をしてこなかったのもあると思う。
物心ついたときから座ってりゃご飯が出てくる環境でずっと育ってきたし、出てくる食べ物について素材や料理名などの説明も聞いたことないまま、ただ美味しく頂いてた。料理の機会といえば調理実習くらいだったが、そこでしか料理をしないので当然うまくできない。杏仁豆腐を作るときによく分からなくて半分くらい蒸発させたこともあるし、きゅうりの輪切りができなくてきゅうりの輪切りの補習を受けたこともある。
そして料理への苦手意識が高まって、調理実習の日は大抵休んでた。今は実家から出ているので自炊する機会も多いが、本当にかんたんなレシピ数種類をひたすら繰り返しながら、外食したり出来合いのものを買って食べたりして凌いでいる。
味のこだわりも少なく、基本的にすべてを美味しく食べられる影響で 「美味しいお店を開拓する」みたいなことにも全然関心がない。他人がおすすめしてくれたお店に行って確かに味の質が高いことは感じることもあるが、わざわざ自分でそのレベルのお店を探すほどの興味はない。近くのサイゼリヤでこと足りてしまう。
料理をせず調理工程を想像できないことで、何かを口にして感じる味の構成要素とかが不明瞭になってしまい、記憶もできず、他人が食べていても美味しさの共感があまりできない。だからテレビのグルメ特集とか、YouTube の食べ比べ動画とかみても全然面白くない。好きなYouTubeチャンネルで食べ物系の動画が出ることを明確にハズレだと思ってる。
ただ、世間一般的にはグルメ情報はかなり関心が強い。食べ物の紹介はそこかしこで無限に行われているし、好きなYouTubeチャンネルでは他の企画よりグルメ回の視聴回数の方がよく伸びている。
それもそのはずで、衣食住は生活の絶対的な要素であり全人類にとって多かれ少なかれ関心がある領域であるはず。スーツなど定型のものを着続けることのある衣、滅多に変化が起きない住に比べ、食は基本的に数時間に一回重複をなるべく避けたものを摂取するわけだから、食べることについて考える機会はとにかく多い。
みんなどういう経緯で食に興味を持ち始めたんだろうか。例えばゴルフって全員が通るわけじゃないからゴルフそのものの楽しみ方をプレゼンする機会だってあるだろうけど、食べることって当たり前すぎて 「美味しく食べるとはこういうことだ」という紹介をされる機会が一切ない。私に教えてほしい。全然パワポとか使ってもいいから。Googleスライドでも Canva でもいい。
そう思うと、自分はかなり損をしているな〜という気持ちになる。毎日3回程度訪れる機会を全然楽しめてない。そして多分、今後もあんまり興味とか持てないと思う。レストランに行っても、ハンバーグがあれば確定でハンバーグを頼む。人から「レストランってハンバーグ専門店じゃないよ」と言われて初めて、確かにハンバーグ以外のメニューってあるよなと思ったくらい、多様な味を楽しむ気持ちがない。
今後は自炊とかを通して少しでもその喜びを知っていきたいところだが、果たして……